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異世界のお酒は体質に合わなかったらしい。ナビゲーターがだしてくれた薬草を錬金鍋へ入れて薬を作って飲む。
苦い。
でも、昼頃には不快感も頭痛も治るそうだ。
宿で提供している朝食の野菜スープをいただき、再び寝よう。
寝室を出て、部屋のテーブルで食事をしていたらフライトが部屋から出てきた。
「半月くらい出てくるので、この町で待っていて欲しい。宿代は食事代込みで先払いしてるから、頼む」
「フライトさん、わたしの監視が仕事じゃなかったんですか?」
「監視の仕事期間はもう終わっている」
なら、何で一緖にいるのだろう。
「忘れられた倉庫ダンジョンは7層しかないし、お姉さん、日帰りでも余裕でしょ。朝ダンジョンに行って、午後町の観光してたら半月くらいすぐだよ。宿代出してくれてるし、ね」
朝食を用意し、甲斐甲斐しくお世話してくれるネイトに説得される。悪い案でもないし、ダンジョンで欲しいものが集まるまでにどれくらい時間がかかるかわからない。
気楽に待っていることにした。
「冒険者カードは預かってきたから、渡しておく。今日には精算も終わっているはずたがら、お金受け取りに行けよ」
「うん、ありがとう。お世話かけました」
にっと、男臭い笑みを見せ、フライトは出かけていった。言葉づかいが元に戻ってから、会話しやすくなっている。
「お姉さん、冒険者ギルドいつ行く?」
「午前中は寝る。元気なら午後かな」
「なら、昨日失敗した情報収集してくるから大人しく宿にいてね」
「出かけるつもりはないけど、1人でも大丈夫よ」
ネイトが困ったら顔をする。
「お姉さん。男に心配されたら甘えたらいいんだよ。お昼に食べたい物頼むとかでもいいかな。昨日現金なくて困ったって話したら、フライトがくれたから、ちゃんとお買い物してこられるよ」
お姉さんは甘えるのが下手だからと、ダメだしをされた。フライトにお土産頼めばいいのにとも。
「なら、水筒かしら、野菜ジュースを作ろうと思っているけど、入れ物がないの」
錬金鍋で作るなら、野菜まるまる入れてもできるらしい。だだ、量が多くなるので1回で飲める量ではないそうだ。
「お姉さん、あざとくかわいいお願いをしよう。男はそれだけで喜ぶから」
「たとえば?」
何も思い浮かばなくて問えば、即答された。
「甘いお菓子」
「今の胃の感じだといらない」
「そうか、なかなか難しいね」
なんか、落ち込まれた。
ぼんやりする頭ではそんなこと気にしてばかりはいられなくて、食事が終わると寝室に引っ込む。
食器は出かけるついでにネイトが持っていってくれた。
ここの宿なら宿泊客が動かなくてもいいのだが、寝ているところに来られたくない珠莉のためにネイトが対応してくれている。人の機微を見極めて、殺される危機を乗り越えてきた人だ。
何をされるのが嫌か、よく見極めている。だから、ネイトは昼まで帰ってこないだろう。
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