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 フライトは昨日の昼、冒険者ギルドから緊急呼び出しをを受けた。  近隣の町に異世界人か現れ、ちょうど依頼を受けていなくて手の空いていたフライトが異世界人の確認へ向かった。  異世界人は全員ではないが強力なスキルを有する。そんな異世界人を奴隷にして自国に取り込もうとした国は過去に多くあり、強力なスキルを持つがゆえに、しっぺ返しを受けることもあった。  扱いを間違うと、異世界人は危険な存在となる。世界各地に根を張る冒険者ギルドはその事を理解しており、権力者から守る方向で調整していた。  本人が権力欲があるなら、国に積極的に関与していくのを止めることはしないが、無知ゆえに搾取されるのは阻止しておきたい。  異世界人が騙されたとブチ切れて暴れた時、どうにかしてと依頼を強制させられるのが冒険者ギルドだ。  暴れられる前に対処するのが世の中のためだと、積み重ねられた歴史が証明している。  懇々と異世界人について話を聞かされ、フライトは騎獣ゴーレムを使い町から町へと移動した。  夕刻、異世界人が来た町に到着来た時には、町の中にいるは11人になっており、1人会えない人ができてしまう。  いない者はしかたないと、とりあえず11人に接触してみた。  やってきた異世界人の中では一番若い聖女の職を持つ少女を中心としたグループ。 「攻略対象にしては年よね。先生って感じでもないし、移動用のお助けキャラかしら」  何を言っているかわからなかったが、王子様や貴族令息に興味があるようだ。権力志向が強く、婚約者がいる相手に好意を向ける傾向がある注意人物として報告して置く。  おそらく、男の肩書きが好きな子だ。魅了系のスキルを持っていないか確認してもらう。フライトが受けた感覚では、持っているので、扱いには注意が必要そうだ。  次に会ったのは勇者の職を持つ少年か中心となるとグループ。  成人となっていてもおかしくない年齢だが、どうにも幼く青年より少年かと呼ぶ方がしっくりくる。 「勇者って、やっぱり魔王倒さなきゃいけない感じ?」 「魔王は魔国の王だ。国家元首に手を出したら未遂でも極刑になるぞ」 「極刑って何?」  暗雲を切り裂く一条の光がどうのと、何か語り出したが、剣で殺したら平和になるような国家元首は存在していない。  剣で倒して喜ばれるのは魔物やモンスターだ。英雄志望はそちらで満足して欲しい。  美少女姫、できれば巨乳や奴隷の美少女と仲良くなりたいらしい。  美少女にハニートラップを仕掛けてもらい、冒険者として成功してもらうのが無難だと思われる。くれぐれも、立場の合わない美少女に遭遇させないようにしたい。  こちらも魅了持ちの疑いがある。監視は必要そうだ。  婚約者持ちはくれぐれも近づけるなと報告しておこう。  この時点でもう夜遅く、残りの3人は酒を飲みながらの接触となった。
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