第三夜

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「そりゃもちろんラブホでしょ!」  カナちゃんの言葉に勢いよくビールを噴き出した。  ついにビールだ。  しかしやはりハードルが高かった。  苦い。とにかく苦い。  息を止めて飲めば喉越しの良さがわかるけど、舌に残る苦みにどうしても慣れない。  それはそうとして。 「聞こえるってカナちゃん!」  今日も今日とて、飲み会では席が離れている星くん。  ちらりと彼を確認すると、なんと星くんはこちらを見ていた。  それも顔を赤らめて。 「カナちゃん!!」  今度こそ聞こえちゃったじゃないか!  まずい、まずいぞ。  ……これから約束してるのに。  スマートフォンの画面にメッセージマークが浮かんで、跳びはねそうになる気持ちを抑えた。 『そろそろ行こうか』  星くんからのメッセージだ。  先月のネットカフェの夜、ついに連絡先を交換した私達。  速まる鼓動を落ち着かせながら再び星くんを見つめると、彼は少し口角を上げて頷いた。  落ち着くどころか、どんどん心音は激しくなる一方。  なんだか密会みたいで舞い上がってしまう。 「じゃ、じゃあ。そろそろ帰るね」  私達はほぼ同時にお座敷の席から立ち上がり、それぞれ会釈した。 「頑張れよー!」 「楽しんでねー!」  あれ、密会のはずなのに、いろいろとバレてしまっているみたいだ。  ニヤニヤしながらジョッキやグラスを上げている皆に見送られ、私達は居酒屋を後にした。
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