第一夜

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 朝まで二人で……って、やっぱりそういう意味だよね?  私も星くんも成人してるんだし。  でも待って。私、男の子とは高校の時に一週間だけ付き合った事しかない。  ぶっちゃけ、手を繋いだことすらない。  それなのに突然こんな展開……ワンナイト?ワンナイトしちゃうの?  でも星くんのことが好きなわけだし、嫌とかそんな気持ちはない。  むしろ正直言って緊張の中にワクワクした期待も含んでいる。  そもそもそんな提案をするってことは、星くんも私のことを……? 「じゃあ、ファミレスでも行こうか」 「ファミレス!?」  私の大声に驚いた顔をしている星くん。 「あ、……嫌?」 「嫌じゃない!嫌じゃないです!あー、なんか、お腹空いてきたし」  必死になっている自分が可笑しい。  この光景をカナちゃんに見られないで良かった。 「町田さん遠慮するから、あんま食えなかったんだろ」  そう言って星くんは柔らかく笑った。  こんなにしっかり話すのも、至近距離で笑顔を見るのも初めてだった。  それに、私という人間の性質を理解しようとしてくれたことに感極まる。 「じゃあ、行こうか」  二人で今来た道を引き返して、繁華街の中にあるファミレスへ入った。  そこはバイト先のコンビニの近くだから、何回か行ったことがあるお店だ。  星くんは私よりももっと利用する機会があったようで、同い年くらいの男性店員と仲睦まじく会話をしていた。 「悪いけど、終電逃したから朝まで居させて。できるだけオーダーするから」 「オッケー!全然いいよ。暇だし。……それより、ホッシー彼女いたんだ」  店員さんのニヤリとした含み笑いに、星くんは露骨に赤面している。  そんな姿を見たら私も全身が再度沸騰してしまう。    違う!星くんはいじられていることに照れているのであって、私とのことを意識しているわけではない。  そしてここで「違うし!」とか言ったら私が嫌な気持ちになるだろうと慮って否定しないでいてくれているのだ。  星くんはそういう人だ。  二人で黙りこんでしまう私達を、店員さんはお腹を抱えて笑った。 「ピュアか!じゃあごゆっくり」  悪戯な笑みを浮かべながらも、店員さんは一番奥の四人掛けソファ席を案内してくれた。
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