第一夜

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 席に着いたら、静かにメニューを選ぶ星くん。  伏し目がちになった時の睫毛が可愛い。  こんなに近くで長時間、星くんと一緒に居られるなんて。  夢のような展開にゴクリと固唾を飲み込みながら、私もメニューを見た。  率直に言って、星くんはかなりの量のオーダーをした。  普段あまり食べるイメージがないので、少しびっくりした。  長居することを気にして、お店の為に注文しているのかもしれない。 「町田さん、ポテト一緒に食べて」  星くんは、山盛りのポテトがのった大皿を私の方へ近づけた。 「あ、ありがとう……」  “二人でいようか”“一緒に食べて”  さっきから星くんは、絶妙にキュンとくる言い回しをしてくる。 「美味しい」  これ以上ないくらいポテトを咀嚼し、やっとのことで感想を述べると、星くんは目を細めた。 「うん」  優しい「うん」だった。  こんなに可愛らしくて優しい「うん」を聞いたことがない。  仕事中とは違って、少しリラックスしているような、柔らかな空気に溢れている。 「さっきの、店員の人。あいつ同じ大学なんだ。草野(くさの)。ポテト二倍にしてくれた」 「そうなんだ。仲良さそうだったもんね」  星くんと話すのはドキドキするけど、なんだか凄く和む。  いつもより饒舌で、いつもより楽しそうに笑い、たくさん食べる星くんは魅力的だった。
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