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チートな能力でもふもふ発見!?
美しい容姿とは裏腹に、手厳しいフェアリーにどやされてシュンとして元いた小屋の裏手へと背中を丸めてとぼとぼ歩いて行くピクシー。
その背中を眺めているうち、親友の未来や野々宮先輩のことがふと脳裏に過る。
ルーカスさんの話によれば、召喚された場合、元いた世界で命を全うしているか、元の世界で行方知れずになっているかのどちらからしい。
私の場合は、大きな地震に巻き込まれているので、おそらく前者である可能性が高いようだ。なので、もう元の世界に戻ることは叶わないらしい。
だから余計に、二人のことが気にかかってしまうのだろう。
ーーきっと皆、私は地震に巻きかまれて死んだものだと思っているんだろうなぁ。
それとも、未来や先輩たちもあの地震の巻き添えになってしまったのだろうか。
いつも見栄ばかり張っていて、子供の成績や進路のことにステイタスを見いだしていた口うるさい両親のことよりも、未来たちのことがどうにも気にかかる。
浮かない顔をしていたのだろう、私の様子を心配したフェアリーが私の肩に腰かけ顔を覗き込んでくる。
「ノゾミン? どうしたの? 大丈夫?」
「……ん? ああ、ごめん、ごめん。ぼーとしちゃった。へへへっ」
ハッとした私は慌てて笑顔を取り繕った。
「悲しいときは、無理に笑わなくていいのよ。いきなり異世界に召喚されたんですもの。寂しくもなるわよ。ほら、この花の蜜でも吸って元気出しなさい」
いつもはキャピキャピしていて、JKのようなフェアリーだけど、時折こんな風にふっと大人びたことを言って慰めてくれていた。
正確な年齢はフェアリー自身にもわからないようだが、もうかれこれ数百年は生きているらしいので、妙に説得力がある。
ここで暮らすようになって、何度こうして慰めてもらったかわからない。
それはフェアリーだけでなく、ルーカスさんもそうだし、勿論ピクシーもだ。
三人のお陰で、異世界に召喚された私は、今もこうして、生きながらえることができて楽しく暮らせている。
それらに心底感謝しつつ、フェアリーが差し出してくれている、小さくて可憐な白い花に目を向けてみる。
見た感じ、小さなコスモスのような花だ。
それを受け取ってそっと唇に寄せて吸ってみる。
すると仄かに優しい蜜の甘みが口中に広がった。
なんだか酷く懐かしい感じがする。
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