悶々とする日々のなかで

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 魔法で食器の準備をしてくれていたフェアリーに目を向けると、四人がけのテーブルの上にちょこんと腰を下ろし、腰に手を当て頬を膨らませているフェアリーの姿が待ち構えていて。 「……へ?」  ハッとし手元のスープ鍋に視線を落とすと、ぐつぐつと煮えたぎって、今にも吹きこぼれそうだ。 「あっ、あー、ごめんなさい。水足すね」  大慌てで近くにある水瓶から水を汲もうとする私に魔法で手助けをしながら、呆れたようにツンとした口調で鋭い指摘を繰り出してくるフェアリー。 「もう、どうしちゃったのよ? 最近、暇さえあれば溜息零してばかりだし。かと思ったら、急に真っ赤になって身悶えたりして。もしかして欲求不満なの?」 「////……よ、欲求不満じゃなくて、ただの寝不足だから。もう、フェアリーったらやだなぁ。ははは」  まさか、図星をつかれようとは思いもしなくて、真っ赤になってしまうという、なんとも恥ずかしい目に遭うこととなった。  なんとか笑いで誤魔化すことができたけれど、これではバレバレだ。 「その様子だと、どうやら図星みたいね? いくら欲求不満だからって、寝床をともにしているレオンに欲情したらダメよ? 人狼が生まれちゃうから」 「////……よ、よ、よく」  案の定、ズバズバと鋭い指摘と、吃驚発言とをお見舞いされてしまった。  私は、尚も真っ赤にさせられ口をパクパクさせることしかできない。そこへ。 「ノゾミ様、どうかしましたかな?」 「……今、人狼がどうとかって言わなかった?」  仕事を終えたルーカスさんと一緒に戻ってきたピクシーの声が合わさった。  ボンと火を噴く勢いで全身を真っ赤にさせた私は、 「なんでもありません」 それだけ言って小さくなるしかない。 「ふふふっ、なんでもないわよ。さぁ、夕飯の準備、準備」  フェアリーの笑い声が聞こえてきたけれど、話題を変えてくれたことに安堵しつつも内心は穏やかじゃなかった。  そんな私の足下では、いつものように擦り寄って甘えていたレオンが私のことを不思議そうに見上げつつ首を傾げていて。  レオンのサファイヤブルーの綺麗な瞳と視線がかちあった刹那、言いようのない気まずさと羞恥に襲われてしまい、無性にこの場から消えたくなった。  けれども、そういう能力は備わっていないようで。  当然、消えることもなく、身体を縮こめ、スープの入った鍋を掻き混ぜ続けるしかなかった。
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