眠りに墜ちる狭間で

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 言葉を使って意思表示することのできないレオンに対して、なんて酷いことをしてしまったんだろう。  いつもはもふもふしてて可愛いって言って可愛がってるクセに、身勝手もいいとこだ。  私は大慌てでレオンのことを抱き上げ、ぎゅうっと胸に掻き抱き。 「レオン、ごめんね。吃驚したよね。怖かったよね。本当にごめんね」  もふもふしたアッシュグレーのふわふわの毛に顔を埋め、幾度も幾度も謝罪を繰り返す。  そんな私に対してレオンは、いつもと変わらず、「クゥン……クゥン」といつもの甘えた鳴き声を出しつつ、頭や身体を擦りつけてきたり、私の顔や身体の至る所をペロペロし続けてくれていた。  そんなことがあったものの……。  それから数日が経った今でも、レオンは相も変わらず私に酷く懐いてくれていて、以前と何も変わらない日々が続いていた。  けれどその日を境に、私の睡眠不足は加速することになる。  あの淫夢は毎晩のように見るし、これまで同様、レオンとは寝床が一緒なのだ。  そりゃ無理もないだろう。  そんなわけで、先輩に瓜二つの王子様とレオンによって、淫夢のなかで毎晩翻弄されていた私の睡眠不足は、少しも解消されることなく、日増しに酷くなっていった。  先輩と瓜二つの王子様とレオンとに翻弄される淫夢を見るようになってから十日ほどたった頃だろうか。  ーー睡眠不足くらいで休んでなんかいられない。昼間のうちに身体を動かしていたら、そのうち疲れて深い眠りにつけるだろう。  そうやって自分に言い聞かせ、睡眠不足のせいでクラクラする頭とフラフラと覚束ない足取りで薬草探しと下着の開発とに勤しんでいた。  そんな私は、薬草探しの途中、とうとう睡眠不足が祟って、湖の畔の大きなモミの木の根元で倒れてしまう。  この頃にはこちらの世界にもずいぶんと慣れてきて、薬草探しは一人でするようになっていた。なので。  ーーフェアリーを呼ばなくちゃ。  意識が遠のいていく狭間でそんなことを思っていると、頬にもふもふとしたレオンの身体が触れる感触がしたのを最後に、私は深い深い眠りへと誘われていったのだった。 『ノゾミ、しっかりして。ねえ、ノゾミ!? ノゾミッ!?』  そうして心地のいい深い眠りに落ちていく狭間で、夢に出てくるあの王子様のまるで砂糖菓子のように甘やかな声音で、名前を呼ばれていたようなそんな気がした。
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