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そしてその精度が百発百中と非常に優れているので、樵だけでなく薬草を売って生計を立てているルーカスさんの助けになることができることが、居候の身としてはとても嬉しかった。
ルーカスさんは、慣れない異世界なので、そんなことはしなくていいと言ってくれているのだが、いつまでも甘えてなどいられない。
働かざる者食うべからず。
ーーしっかり働いてルーカスさんの負担にならないようにしなくちゃ。
とまぁ気合は充分だが……。
今いる精霊の森は、邪妖精や魔物が棲んでいると聞いたためか、夜になるとうっそうと生い茂っている木々がざわめき、怪しい雰囲気を醸し出していて、見ているだけで怖さすら覚える。
その様は、まるで富士山麓にある、自殺の名所として知られる樹海のようだ。
けれど昼間は、そんな雰囲気など一切感じられない。
召喚される間際までいたキャンプ場のような気がしてしまうほどに、とっても静かでのどかな場所だ。
時折、旅人や商人が珍しい薬草を求めてやってくることもあるそうだが、無心になって薬草を探しているうち森の奥へと迷い込んで帰ってこられなくなる者もいるらしい。
よって私もそんなことにならないようにということで、精霊の森に詳しいフェアリーととともに薬草探しに没頭しているのだった。
「ご名答。この薬草は邪妖精にとっては万能の薬草なんだけど、人には害になるの。さっすが聖女様~」
「もう、フェアリーったら、その聖女様っていうのやめてよ」
「ごめんごめん。そうだったわねぇ。ノゾミン」
「なになに? 二人してずいぶん楽しそうにして。ずるーい。僕も仲間に入れておくれよ~」
「なーにいってんのよ? 私たちはお仕事してるのよ。ピクシーの分担は薪割りでしょう? 働かざる者食うべからず。ちゃんと仕事しないと夕飯抜きにするわよ」
「……ケーチ。わかったよ」
一月もすれば、ここの暮らしにも慣れて、小妖精のフェアリーやピクシーともすっかり打ち解けていた。
特に同性であるフェアリーとは親友のような間柄となっている。
そこへ、家の裏手で薪割りに勤しんでいた寂しがり屋のピクシーが加わったことで一気に賑やかになった。
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