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シーナは本当はあの次の日には駆けつけたかったらしい。でも、仲間達が気持ちの整理には時間がかかるだろうから少し様子を見ようと止めて、1週間が過ぎ我慢も限界と今に至る。
オレンジジュースにお菓子、サンドイッチ、ホットドック。ちょっとした食事になりそうなものもどっさりと差し入れがありシーナは僕の分を分けながら遠慮なく食べている。
「光流のお母さん、料理上手いだろ。めちゃくちゃ美味しい。食えよ」
「……いただきます」
押しに負けてホットドックを一口。温めてくれていたと気付く。ちょっとケチャップが熱くなりすぎていて舌を火傷した。けど、美味しい。久しぶりにそう思えた。美味しくて、あったかくて涙が出るなんて思っていなかった。泣きながらしばらく食欲のなかった分食べ続ける。
「お母さーん! おかわりくださーい! めっちゃ美味しいです。光流くんも食べまくってますよー!」
「シーナ!?」
「すぐ持って行くわ!」
大胆なシーナの行動に喉を詰まらせそうになったけど、打つように返ってきた母さんの声はなんだか泣き出しそうに聞こえて本当に心配かけていたんだなと反省をこめて飲みこみ、また黙々と食べた。
昨日食べなかった大好物のハンバーグをハンバーガーにしてくれたものと、サッカーボール模様の大きなおにぎり、ジュースのペットボトルにあったかいお茶がどどんと届いた。
「お母さん、ありがとう」
「いっぱい、食べなさい。ごゆっくり」
泣き笑いを浮かべて部屋を出ていく母さんを見送って僕らはまたしばらく食べるのに専念した。
「反省したかー?」
「はい……」
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