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浅く短い眠りは、不意に爆発した電子音で破られた。
(……痛、た)
睡眠不足のこめかみに、容赦なく食い込んでくるアラーム。
目を閉じたまま手を伸ばし、ヘッドボードに置かれたスマホをつかむと、軽やかに鳴り響くピアノ曲をタップひとつで止める。
「……」
いつもならそのまま、布団の中でネットニュースを眺め始めるところだけれど。
スマホを握った手が、シーツの上に落ちた。閉じたまぶたを、私は逆の腕で覆う。
――ニュースサイトを開くまでもない。
一晩たったところで、世界は元に戻ってなんかいない。
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