Prisoner Of Love

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すっかり昨日の女性の話や、どこで何をやっていたのか聞きそびれたが 「ただいま」 「おかえりなさい」 「何かいい匂い」 「今日はね、ハンバーグにしたの!行雄好きでしょ?」 「おっ、いいねー、大好き」 連絡も返してくれるようになり、帰宅もいつも通りに帰ってくるようになったので、まあいいかと流した だってちゃんと家には帰って来てる 彼の言葉を信じるんだ と、思っていたけど まただんだんと… 仕事から帰ってくる時間が遅くなり、連絡をしてくれなくなった 「ただいま」 彼はふらっとしながら玄関で靴を脱ぐ 「…飲んでるの? ご飯は…?」 今日は行雄が好きなビーフシチュー 「食べて来た」 「食べて来たって…」 約束したのに、自分で連絡するって言ったのに 守られてない… 私は行雄に苛立ちをぶつけた 「連絡は?あなた帰る時連絡するって言ったじゃない この時間まで連絡もないし、挙げ句ご飯も済ませてるって… 自分で言ったことも自分で守れない約束なら、約束の意味ないじゃないの」 「…酔ってて連絡忘れた けど ご飯作るのは専業主婦してるなら当たり前だし、養ってくれてる人にそんな言い方するのは止めたら? 俺はお前と違ってお前を養っていかなきゃいけないわけ、仕事が忙しくて連絡出来ないことくらい俺の嫁ならわかるだろ 何年一緒に住んでるわけ?」 何だその言い草… 「嫁だろうが何年住んでようが、連絡するのは人として当たり前のことじゃないの? そんな当たり前のことができなくて、仕事が忙しいなんて言われても言い訳にしか聞こえない」 「俺はお前を養ってやってるんだから連絡するしないは俺の自由なんだよ けどお前は俺がいなきゃ生きていけない 俺とお前は対等じゃないんだよ 同じ立場で考えないでくれる?」 なにそれ… それじゃ私は自分勝手だと言いたいの? 夫婦って主従関係なの? 違うよね? なんか悲しくなって私は涙が溢れた それは、行雄に理解してもらえないからと言うのもあったけど それだけじゃない ”養ってくれてる人” その言葉を言われて、何も言えなくなる それはある意味最強カードだと思う それをいったら、おしまいだよと だから私は黙って頷くしかないのだ 事実、私は彼なしでは今生きていけていないのだから 改めて 私は行雄に縛られているんだと 一人じゃ何も出来ない 情けない自分に対しての、涙
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