Prologue

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真夏の品川のホテルでは、親友の結婚式が行われていた 純白のベアトップのウエディングドレスは、女の子の憧れだろう 頭に白い薔薇の花冠を着けた彼女は、参加者に笑顔を振りまいてシャッターの中に収まっていく 私は彼女の親友として、祝辞の担当だった 「おめでとう、奈津美(なつみ)」 「ありがとう、あや子(あやこ) 結婚式に来てくれて嬉しい」 「もちろん だって親友、じゃない」 「うん、私たち幸せになるからね」 「…そうだね」 2人は腕を組んで、私に微笑みかけた さっき、新郎と新婦で交換し合っていた銀色のリングが彼女の左手の薬指で輝いている 紛れもない、愛の証 私は二次会に参加することなく、そそくさとホテルを後にした 真夏の品川は風はあるものの、日本独特の湿気で蒸し暑い エアコンの効いた室内から出ると、一気に汗が吹き出して、額に髪の毛がべたりと着いた 洗い流さなきゃ… 彼女の結婚式のために新調したスーツが、瞬く間に汗まみれだ 洗って、全部流してしまいたい… なにもかも
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