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 彼女の瞳をじっと見つめて深呼吸をする。 「日比野ちゃんがすごく好きなんだ。こんなどうしようもない俺だけど、良かったら付き合ってくれませんか?」  やっと言えた。俺ってばどれだけ遠回りしちゃったんだろう。  塔子は嬉しそうに微笑む。 「私も松尾さんが好きよ。私のこと、松尾さんの彼女にしてくれる?」  そして塔子が総馬の胸に飛び込むと、彼はその体を優しく包み込む。  こんな近くに素敵な人がいたことにずっと気付かないなんて、俺って本当にどうかしてる。 「あっ、でも俺の流儀には反してない!」 「……なんのこと?」  突然片手を上げてガッツポーズをした総馬を、キョトンとした顔で塔子は見つめる。 「ほら、一度やると言ったら、最後までやるという流儀! ちょっと遠回りしたけど、日比野ちゃんへの想いに戻って告白した!」 「あはは。何それ! ……でも戻って来てくれて良かった……ありがとう」  おいおい……なんでそんな可愛い顔して、破壊力抜群なこと言っちゃうんだよ。違う意味で我慢出来なくなる。  総馬はあたふたしながら次の言葉を探す。 「な、なぁ日比野ちゃん! 今夜の予定ってなくなったんだよね⁈ 約束通りゲームする⁈」  いい言葉が見つかった! と思った途端、塔子に鼻を摘まれる。彼女の顔を見ると、少し不機嫌そうにを総馬を見ている。 「ひ、日比野ちゃん?」 「……もうゲームはいいから……」 「えっ……」 「今度はゲームよりも二人の関係を優先して……」  総馬ははっとする。最初の時はゲームの話で盛り上がって、恋より友情になってしまった。塔子が不安になるのもわかる気がした。 「大丈夫。もう同じ(てつ)を踏むことはないから」  そう言うと、総馬は塔子にキスをする。 「ゲームだって、恋だって、と一緒だから楽しいんだ。だから塔子も同じ気持ちだと嬉しい」  驚いたように目を見開いた塔子は、眩しいくらいの笑顔になる。 「私はずっとといる時間が楽しいって思ってたよ。これからもっと一緒にそんな時間を過ごせるなら嬉しい」 「……俺、絶対塔子を幸せにするよ」 「うふふ。それも流儀?」  総馬は胸がいっぱいになって、塔子にもう一度キスをした。 「それだけじゃないよ。これは俺の気持ち。塔子が幸せなら俺も幸せだってわかったから」 「うん……私今すごく幸せ」 「それなら俺も幸せ」  二人は微笑み合うと、お互いの体をぎゅっと抱きしめた。  俺が流儀を曲げたせいで時間がかかっちゃったけど、運命の恋はこんな近くにあったことにようやく気付けたんだ。
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