サイコパスと呼ばれて

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サイコパスと呼ばれて

 小学生低学年の頃まで、長髪で女の子の服を着ていた斉藤洸太(コウタ)は『サイコ』とあだ名を付けられ、担任の先生でさえ時々サイトウを(わざ)と間違えて『サイコくん』と呼び、五年生になるとホラーの主人公として『サイコパス』の称号を得る。  洸太は両性具有者として産まれて医学的には男性に分類されたが、幼い頃は女性の心を持ちスカートに憧れ、中学生になるとホルモンの影響なのか、肉体的にも精神的にも男性として目覚めた。 「コウタさん。そろそろ世界を変える時じゃないかしら。こんな気味の悪い物に囲まれてたら、本当に頭おかしくなるわよ」  斎藤家に長年仕えた乳母、上原貴代は洸太が成人になり一人住まいになってからも、週に二回掃除洗濯と食事の世話に訪れている。  大広間には剥製が数百匹置かれ、種類はネズミからイヌ、ネコ、タヌキ、ハクビシン、フクロウ、スズメ、ハト、カラス、トンビ、カモと郊外に棲む小動物を地下室で解剖し、防腐処理を施した自作の剥製が棚から壁まで所狭しと飾ってあった。 「生物学を独学で勉強して、剥製師になったのです。別にいい趣味だと思うけど?」
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