社会貢献

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社会貢献

 上原貴代は娘の美代子に頼まれて、孫娘の水野理恵の授業参観に出席し、高校一年生だというのにしっかりとした発言をし、考え方も先進的で理に適っていると感嘆した。 『でも、男の子はダメね』  テーマは社会貢献で、地域のひきこもりを社会復帰させる具体案を考え、イジメの無い学校生活へ繋げるという興味深い内容であった。  生徒は六人の男女チームになり、父母も参加して生徒の意見を聴く。貴代は理恵のチームに入り、男子生徒はおとなしくて、積極的に発言する女子生徒のパワーを感じた。 「おばあちゃん。あの高台のお屋敷のサイコパスと仲良しだよね。私たちその男の人を題材に選んだから、力貸してくれない?」  授業が終わって、教室を出る時に理恵にそう言われて貴代は唖然としたが、もしかしたらこの子たちなら、洸太を変えられるかもしれないと思った。 「でも、お母さんが反対すると思うわよ」 「だから、おばあちゃんが説得して欲しいんだ。もし成功したら凄いインパクトあるでしょ。サイコパスを社会復帰させた奇跡の女子高生なんてね」  クラスの女子生徒が理恵の後ろではしゃぐのを見て、『これが若さか』と少し呆れたが、翌日、食材の買い物をして美代子の家に行って交渉する。
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