第一章~嫁奮闘記

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第一章~嫁奮闘記

 事の顛末(てんまつ)の始まりは、コバルトのアカデミーの夏休みからなる。  現在、スカイとエンの息子であるコバルトは、十六歳の美少年に見事に育っていた。 見た目は、スカイとそっくりであり違うのは、空色の髪を短髪にしているのと、瞳の色がエンと同じ深紅の瞳である事くらいであろう。  そんなコバルトは、父であるスカイの頼みで夏休みの初日から父と(ゆかり)のある国々へと医療品を届けてまわる事となったのである。もちろん、バイト料はたんまり頂くつもりだ。  その話しをどこから聞きつけてきたのやら、アカデミーの同級生で幼なじみのシャイン嬢は、 「私も一緒に行くわ!」 っと、ちゃっかり付いて来てしまったのだ。  コバルトは、父からかりてきた愛馬のキャロットの上から後ろにぴったりとくっついて乗っているシャインに、 「お前、ちゃんと寮長さんとアーロンおじさんに俺に付いて行く事を、伝えたんだろうな?」 っと、訊いた。 「寮長さんへは、ちゃんと話したわよ。父様には、後で文でも出せば大丈夫でしょ。どうせマルジャーラ国へ行った後でシルバー国にも行く予定があるでしょ?」 「まぁ、そうだけど……」 「それに私は、貴方の未来のお嫁さんよ、一緒に行って何が問題なの?」 シャインは、色白の可愛い小顔を少しだけかしげながらコバルトに訊いてみせた。 …… 『お前が超絶可愛いから困るんだよッ!! ってか、さっきから胸が背中にあたってるんだよッ!』 コバルトは、はぁっと深いため息をつきそして、 「おとなしくしてるんだぞ?」 と、一言かえした。 シャインは、 「やった! だからコバルト好きよ!」 っと、いつもの軽い調子でニッコリと笑った。 『道中俺は、心中穏やかにしていられないんだろうな……』 コバルトは、複雑な想いでいっぱいになった。 そうこうしている間に、俺達は砂漠のど真ん中あたりまで来ていたのだが、 「あそこの行商人が担いでいる荷物何だかおかしくない?」 っと、突然シャインが指を差した。 目をこらして観てみるとずだ袋が、バタバタと動いているのである。 「何か珍しい動物でも入ってるんだろ。先を急ぐぞ」 コバルト達は、さして気にとめる事もなく先を進んだのである。  
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