いつものこの場所 Side瑠璃

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いつものこの場所 Side瑠璃

私は昼休み、結構な確率で図書室にいる。もちろん生徒会室にいないといけないときもあるから毎日ではないけどね。 理由は色々あって……みんなは『本を読まない私が図書室に行くなんて、流明に会うためだけに行ってるんだろうなぁ』とか思ってるけど違います!! ま、まぁ大体の理由は流明がいるからだけど、他の用事もある時もあるかもしれないし! ……そんなことは置いておいて、流明は図書委員長だ。それもとにかく仕事量が多い。いや、多いと言うよりおかしい。明らかに他の人たちがやる仕事を取ってやってしまう。 以前流明に他の図書委員の仕事について聞いてみたときに 「ん〜…クラスに置いとく本を選ぶくらいだと思うけどなぁ。うちの委員会、仕事少ないから皆に人気らしいぜ?」 と言っていた。図書委員が人気なのは流明の人気が高いからだと思うけど… とりあえず、そんな流明が仕事をしている中、隣でおしゃべりするのが私たち3人の昼休みだ。 「ん、瑠璃?どした?」 流明が、代本板の整理をしている流明とイチャついている夜兎ちゃんと未史君をじっと眺めていた私を現実に引き戻す。 ちなみに夜兎ちゃんと未史君のイチャつきというのは、未史君が夜兎ちゃんをからかい、夜兎ちゃんが蹴りをお見舞いする一連の流れだ。まぁ夜兎ちゃんに言っても、「あんなのみーくんがうっとうしいだけだし!」って否定されそうだけど。 「いくら仕事してる流明様がカッコいいからってもう少ししっかりしろよ生徒会長サマ。」 「うるさい!未史君は夜兎ちゃんだけ構ってればいいの!」 「だそうだ。構ってやるよ夜兎。」 「もういい!!みーくんはどっか行け!」 そう言われるた未史君がわざとらしく肩をすくめて 「じゃあ仕方ないな。俺は教室に戻りますよ。じゃあな〜」 と未史君が言っただけで、驚くくらい分かりやすく夜兎ちゃんがしゅんとした。が、「冗談だよ。」の一言で未史君に突っ込んでいった。可愛い。少しだけ未史君が夜兎ちゃんをいじめる理由が分かった気がした。私は未史君ほどよく口が回らないけど。 「ここは図書室なんだが……」 代本板を並べ終わったらしい流明が零した言葉と苦笑で2人の戦い(?)が一旦終わる。 「お前が真面目すぎるんだよ。図書室ほぼ一人で管理してるじゃねぇか。」 「いいだろ、好きでやってんだから。…………あぁ、その本は奥から2つ目の棚の…右上の方だったかな?」 あの下級生の子みたいに、流明に聞いたら大体の本の場所は教えてくれる。さすがに100%正確とは言わないけど、割と当たってる。 「よく本の場所なんか覚えてるよね…」 そういうと流明は 「慣れだよ、慣れ。『ピュアデビル』さカウンターから2つ目の棚の左下にあるぞ。」 と、さらりと爆弾を落としていく。 2人の前で何言ってるの!?…あれ?というかさ… 「そんな場所だったっけ?もっと奥の方だった気が…」 「だって、その方が見つけやすいしな。」 …言っていることを理解することを脳が拒否したけど、今日一番の頭の回転を発揮させて考える。つまり… 「あの本…移動させたの?」 「まぁ、管理者権限だよな。」 流明は全く悪びれもせずに適当なことを言っている。前回の一件でも懲りていないのかな? というか、それはただの職権乱用だからね? 「管理者さん、あの本中学生には刺激が強すぎるから廃棄した方がいいよ。」 「いやいや、学校の貴重な財産を捨てるなんてとんでもない。本は大切にするものだぜ?」 「……そ、そもそも学校の施設を管理してる生徒なんかいません!!」 「お前は学校の施設どころか全体を統治する生徒会長だろうが。」 あ〜もう!! 未史君に助けを求めようとしたけど、夜兎ちゃんと笑ってこっちを見てるだけで何かしてくれそうにはない。 しかたないなぁ… 「えっと…流明。今日からしばらく帰るの遅くなるだろうから先に帰ってていいよ。」 「うっ……悪かったよ。もう言わねぇから」 その言葉で許しそうになったけど、ギリギリで本題を思い出す。 「元の場所に戻す?」 「それは嫌だ。」 「………………」 「…………………………」 「はぁ、分かったよ。戻しときますよ。」 「……じゃあ許してあげる。」 この言い合い(未史君も夜兎ちゃんも痴話喧嘩って言ってたけど普通の言い合いだからね!!)を大笑いして見ていた未史君がすかさずからかい始める。 「流明、お前そんなに一緒に帰りたいのかよ」 「うるせぇな。お前も人のこと言えねぇだろうが。」 確かに未史君の夜兎ちゃん至上主義は人のこと言えないなぁ。 「いや、俺らは家が遠いから。」 あ、そっか。二人の家は結構遠いから、未史君でも自転車で20〜30分はかかる。一緒に帰るのは難しいだろうな。 「でも、よくみーくん私の家まで「夜兎さん?まずは話し合いませんか?」………私の家まで着いてきてくれるじゃん。」 「え!?嘘…」「まじかよ…すげぇな…」 私達が驚いている中、 「あ〜…思わず余計なこと言ったなぁ…」 と、未史君は一人で後悔していた。 それはどうでもいいけど、普通に家に帰るだけでも30分はかかるのに、夜兎ちゃんの家なんか寄ったら一時間近くかかると思うんだけど…本当に溺愛してるなぁ… ちなみに未史君は、この後すぐに鳴った昼休み終了のチャイムと同時に逃げ出した。私たちも、掃除してる間にその件を忘れてしまって、それ以上に追求することは無かった。 まさかここまで見越してあの話を…?と寝る前にふと思い出して考えてみたけど、さすがに考えすぎかな〜。 考えすぎ…だよね…?
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