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それからは真夜中だというのに、ベッドの上と床に掃除機をかけ、昨夜洗濯機に入れたままのシーツと共に放り込んだ衣服を、乾燥までのコースでスイッチを入れた。
「ハルー!この靴下いつのだよ!」
ソファーの下から掃除機に半分吸い込まれて出てきた靴下をアキが投げて寄越し、ハルは慌てて動き始めた洗濯機に放り込みに行く。
「あっ、このシャツも!何で床に脱ぎっぱにしてんだよ…もう」
ハルはまた洗濯機に走ると、戻って来て、掃除機をかけるアキの腕を掴んで引っ張った。
「ねぇアキ、明日は仕事?」
「いや、ないよ。俺は今夜のライブが今年の仕事納め」
アキは掃除の手を止めずに答える。
「そうなんだ…。俺は明日、午後から一件あってさぁ」
「そっか。なら明日一緒にここ出て帰るよ」
「え〜っ?!帰っちゃう?」
「いやだって、俺、イブの日から帰ってない訳だし、着替えとかもないし」
「え〜着替えなんて俺の服着ればいいじゃん」
「お前のはデカ過ぎんだよ。これだってほら」
アキは自分が着ている服を指差した。
今朝、仕方なく借りたハルのシャツやデニムは、袖も裾も分厚いロールアップ状態だ。
190センチのハルと15センチの身長差、やはりワンサイズは大きい訳で、 “ 彼シャツ ” 状態に見えてしまう。
「こういうのも可愛いのに。彼女みたいで」
「うっせ!」
アキは掃除機の吸い込み口を持ち上げると、ハルの顔に向けた。
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