3.バッテリー残量

6/12
前へ
/147ページ
次へ
うわっ!と言って逃げるハルだったが、何かを思い出しカバンを漁る。 「ね、これ、見た?今日のライブパンフレット。俺さ、この練習風景の写真、ヒドくない?」  アキの肩に腕を回し、横からパンフレットを目の前に差し出し自分の写真を見せる。 「こんなもんなんじゃないの?」 アキはそれをチラッと見ると、ハルの腕を()けながら答えた。 「え、アキには俺、もっとカッコ良く見えてないの?! いや、この瞬間の写真選ぶのは悪意あるわ。あ、でも航輝(こうき)の方がヒドいか、ダセェ…」 「真面目に働け。そこ邪魔」 パンフレットを見ながら笑っているハルの足に、アキは掃除機をゴツゴツ当てて、そこから追いやろうとする。 「ごめ〜ん、アキ。怒らないで!ちゃんとやるから」   目尻を下げて、アキの肩に絡みついて来るハル。  「別に怒ってないし」 こんなふうになるのは目に見えてたけど、この調子じゃ、朝になるんじゃないかとアキは溜息をつくのだった。
/147ページ

最初のコメントを投稿しよう!

50人が本棚に入れています
本棚に追加