3.バッテリー残量

12/12
前へ
/147ページ
次へ
「ハル、マネージャーの迎え、11時過ぎって言ってなかったか?もう着替えて準備しないと…」 「そうだった!そうだったー!」 ハルは慌ててベッドから降りると洗面所とリビングを(せわ)しなく行き来した。 程なくマネージャーから着信が入り、バタバタと玄関に向かう。 「アキ、ちゃんとここに居てくれよ!今夜こそリベンジだかんな!」 「へっ?何の?」 「いいから!ステイ!だぞ」 玄関までついて来て、キョトンとしているアキの首筋を掴んで引き寄せ、唇に軽いキスを落とした。 「行って来ます!」    そしていつもの爽やかな笑顔を振り撒いて、ハルはドアを出て行った。 「はあぁ〜……」 ドアが閉まるとアキは、廊下にしゃがみ込む。 いきなり抱き締めたり、キスしたり、嫁に来いとか、一緒にシャワーだとか、昨夜のリベンジだとか…。 ハルを好きな気持ちは確かだけど、頭がついて行かない…。 熱っぽい目で見たり、からかったり…。 かと思うと、爽やかを絵に描いたような眩しい笑顔を残して行きやがって…。 心臓が持たないんだよ…。
/147ページ

最初のコメントを投稿しよう!

50人が本棚に入れています
本棚に追加