5.バレンタイン狂騒曲

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バレンタイン一週間前…。 …あんな事言っちゃったけど、ハルは期待してるんだろうな… 素直になれず、すぐ悪態ついてしまう俺の性格なんて一番分かってる筈だし…。 「アキはそんな事言いながら、絶対俺の喜ぶ事を考えてくれてるハズ。 あ〜どんなサプライズが待っているんだろう…?あぁ、楽しみで仕方ない!」 …なーんて。 スーパーポジティブだからな… いや、でも俺、自慢じゃないけど、記念日覚えてたり、そういう恋人が喜ぶような事、企画するようなマメな奴じゃないからね? あぁ、ハルの期待が怖い… どうしよう? でも、あの時は、ちょっと言い過ぎたしな…。 だいたい自分だって、料理全くダメで、ハルが鮮やかにフォローしてくれたじゃないか… 結局、映画の撮影の待ち時間、女優や女性スタッフの間で、丁度 時期的に交わされているバレンタインの話題に、必死に聞き耳を立てる。 どの店のどんなチョコが話題だとか、美味しいとか、長時間並んで買ったとか…。 そうやって情報収集して、陰でコソコソと名前を忘れないうちに、スマホのGoogle検索ワードに入れておく。 仕事が終わり、シャワーを浴びた後、検索ワードに入れた名前から、出てくる数々のラインナップに頭を悩ませた。 でも、話題に上ってたチョコは、ほぼ完売?! 一週間前では遅かったのか? そんなぁ…。 結局、もうよく分からなくなり、見た目が華やかでハルに似合いそうなチョコを選んで発注した。 俺は何やってるんだろうな〜 …とも思ったし、 でも女の子みたいに、お店に直接足を運んで、人混みにもみくちゃにされながらも、目を輝かせながらあれこれ悩んだ末に買って来た姿を想像して、彼氏は喜ぶのかなぁ… …とも思った。 通販なんて味気ないよな… でもさ…無理だから…。 こんな俺が、スマホ片手に数時間悩んだってだけでも、愛を感じてくれ。
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