5.バレンタイン狂騒曲

4/6
前へ
/147ページ
次へ
「ア・キ、お・待・た・せ♡」 ベッドの上で背中を向けて横たわっているアキの隣に、ハルがドスンと飛び込むと、ベッドのスプリングでアキの身体が跳ねた。 …あれ?こんな衝撃にも反応なし…? …ま〜たまた照れちゃって、寝た振りなんかしちゃったりして… ホントこの “ 照れツン男子 ” さんは…。 後ろから頬を人差し指でツンツンしながら声をかける。 「お〜い、ア〜キちゃん??」 「…………」 ええーーっ?! またかよーー!! いや、この前のは俺か… ハルは、アキの鼻をつまんでみたり、 頬や耳を引っ張ってみたり、 上に乗っかってみたり、 最終手段、身体の中心部に触ってみたり、 そう…前に自分が言ったあらゆる手段を試してみた。 しかしアキは、眉根を寄せたり、色っぽい声を発しながら、寝返りを打ったりするだけで、寝息を立てている。 …マジか…… でもまぁ、疲れてるよな… ハルは、食事中のことを思い出す。 「もう毎日、ロケ弁ばっかでさ、こういう(あった)かい物に飢えてたんだよ〜 外に食べに行けば美味しい物も沢山あるんだろうけど、そんな時間もなくてさ… いや、でもヤッパ、俺にはハルの手料理が最高! あ〜美味い!最高!」 心の底から嬉しそうに、リスみたいにほっぺたを膨らませ、自分の作った料理を食べるアキに、ハルの心も温かくなった。
/147ページ

最初のコメントを投稿しよう!

50人が本棚に入れています
本棚に追加