5.バレンタイン狂騒曲

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「…ん?…ハル?…」 寝返りの後、一瞬だけ瞼を半開きにして、ハルを見てヘラっと蕩けるような笑みを浮かべたアキは、また目を閉じる。 そして、ごそごそとハルの胸に擦り寄って来て、そこに自分の顔を埋めた。 一旦そこに収まったものの、今度は枕を求めるように、少しずり上がって来て、ハルの腕に頭を乗せ、また寝息を立て始めた。 洗いたての栗色の柔らかな髪が鼻を擽る。 伏せられた長い睫毛。 ふっくらした形の良い唇がほんの少しだけ開いて、ハルの首筋に温かな息がかかる。 おいおい…何これ… これ、甘い拷問?? 勘弁しろよーーーっ! 堪えるんだ、俺! 「心頭滅却すれば火もまた涼し… 心頭滅却すれば火もまた涼し! 心頭滅却すれば…………あ~~~っ!!」 修行僧か? 俺は修行僧なのか?! そして、アキは小悪魔じゃなくて、閻魔だよね…? ……というバレンタインの夜なのであった。
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