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「…ん?…ハル?…」
寝返りの後、一瞬だけ瞼を半開きにして、ハルを見てヘラっと蕩けるような笑みを浮かべたアキは、また目を閉じる。
そして、ごそごそとハルの胸に擦り寄って来て、そこに自分の顔を埋めた。
一旦そこに収まったものの、今度は枕を求めるように、少しずり上がって来て、ハルの腕に頭を乗せ、また寝息を立て始めた。
洗いたての栗色の柔らかな髪が鼻を擽る。
伏せられた長い睫毛。
ふっくらした形の良い唇がほんの少しだけ開いて、ハルの首筋に温かな息がかかる。
おいおい…何これ…
これ、甘い拷問??
勘弁しろよーーーっ!
堪えるんだ、俺!
「心頭滅却すれば火もまた涼し…
心頭滅却すれば火もまた涼し!
心頭滅却すれば…………あ~~~っ!!」
修行僧か?
俺は修行僧なのか?!
そして、アキは小悪魔じゃなくて、閻魔だよね…?
……というバレンタインの夜なのであった。
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