6.Flower language

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「はい、これで終了となりまーす。藤崎陽人さん、ありがとうございましたー!」 「ありがとうございました。お疲れ様でした!」 撮影が終わり、引き上げようとした時、スタッフの女性に声をかけられた。 「藤崎さん、お疲れ様でした。良かったら持って帰られます?」 小道具を並べた机の上に置かれたチューリップを指差している。 「綺麗ですよね〜どうしようかなぁ…」 「ホワイトデーですしね。良かったらどうぞ」 四十代くらいの雑誌編集スタッフのその女性は、少し意味深な笑顔を向ける。 …恋人にあげたら?とかそういう意味か?興味半分で探ってる? 笑顔がちょっと引きつった。 彼女とは、もう何度も一緒に仕事をしているので、遠慮なくからかわれてるのが分かる。 「さっき、アシスタントさんが照れてたでしょ? ピンクのチューリップの花言葉、知ってます?」 「え?いえ…」 「『誠実な愛』しかも本数によって、また意味が違って…」 「へぇ〜?そうなんですか?」 「三本は『あなたを愛しています』だから彼女、仕事とは言え、ちょっと恥ずかしかったんだと思うわ。 私達もこれ見て知ったんですよ。 ほら、これ…」 ラッピングペーパーが解かれた上に置かれたチューリップの近くにあった紙を、彼女はハルに差し出す。 「あ〜なるほど…」 『チューリップ(ピンク)の花言葉  “ 誠実な愛 ” 1本…あなたが私の運命の人です 3本…あなたを愛しています 4本……』 ハルはそれに目を落とし、ハッとすると、途端に顔が綻んだ。 「あっ、やっぱりいいです。これは皆さんでどうぞ」 「そうですか?じゃ、今日頑張ってくれたみんなに配りますね。 藤崎さん、お陰で素敵な表紙と巻頭ページになりそうです。ありがとうございました!」 「こちらこそありがとうございました。お疲れ様でした!」 ハルは挨拶をすると、急ぎ足で出口へと走った。
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