7.Happy birthday

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7.Happy birthday

車のスライドドアを開けて外に出ると、アキは空を見上げた。 サングラスを少しずらし、大きく息を吸い込む。 うん…まだ “ 春 ” の匂いだ…。 子どもの頃からずっと “ 春 ” だと認識していた “ 五月 ” 。 ここ何年も、五月といえば初夏というより、いきなり夏突入みたいな感じで うんざりしていた。 四季の中でどの季節が好きかと聞かれたら、迷わず「冬」だと答えていた。 真冬の張り詰めた空気が、鼻先や頬に当たるピリッとした感じが好きだった。 けれど、ハルと知り合ってから、彼のイメージそのものの、穏やかな癒しを感じる暖かさも、なかなか心地好いと思うようになった。 あいつは、こんな穏やかな晴天の日に生まれたのかな… 元気いっぱいの産声を上げて…。 何だか想像でき過ぎて笑えて来る。 ほんの僅かな青空の天井をくぐり抜け、眩しい空の色を目に焼き付けると、アキはいつものように空も外の風景も見えないスタジオへと入って行った。
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