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「アキ?…」
何故、今 引き留めた?
アキも、俺がそれ以上を求めてる事は、きっと分かってる。
ただ男女の関係のように、簡単に割り切れない部分は、絶対にある筈で…。
だから、アキの気持ちを考えずに強引に突き進む事だけは、絶対にしないと心に決めていた。
「いいよ…」
「いいって、な…」
「抱きたいんでしょ?」
顔が見えないままそう言われ、その言葉は 直接 脳天に響いた。
驚きに思わず顔を上げ、アキを見下ろす。
真っ直ぐにアキが俺の目を見ていた。
「でも、アキ、まだ心の準備ができないんじゃ…」
「うん…まあ流石に 男の立場と違うとなると、それは…ね。
でも、俺もハルが好きだから、気持ちは同じだよ。
だから大丈夫」
少し照れたようにアキはそう言って、ふわっと…俺の想いを全部包み込むような笑みを浮かべた。
「…本当に?」
「さっきの鍵……覚悟したから渡したんだ。解れよ」
これ以上 顔を見られたくないのか、アキは俺の首に両腕を回し、また抱きついた。
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