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どちらのものか分からない胸の鼓動が、二人の身体の間で響いていた。
二人の心と身体が、一分の隙間も感じられないほど重なって。
ただただ幸せだなぁ‥と思うと、何故だか少し泣きたい気持ちになってしまう。
アキ……こんな気持ち、分かる?
声にならないような甘い声を上げなからアキが頭を振ると、緩やかな曲線を描いたような髪が、頬や首筋で流れるように揺れた。
その姿は、堪らなく妖艶で……。
アキに向かって風が吹き、
…ザザ…ザ……と、木の葉のざわめく音が聞こえたような気がした。
アキの 撓る身体は、空に向かって伸びている靭やかな枝。
揺れる髪は、まるで新緑の眩しい葉の戯れ。
風に吹かれて、ゆるやかな波のように流れを作りながら揺れる。
そうか……
俺が、アキを揺らす風になってるんだ。
心の底から喜びが湧いて来て、堪らなくなり、手触りの良いその髪の中に指を潜り込ませ、また唇を味わった。
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