50人が本棚に入れています
本棚に追加
2.打ち上げが終わるまでがライブ?
「えっ?打ち上げ?えっと…今日は…」
「えっ?何で?毎年恒例じゃん。
今年は特に感慨深いライブだったんだから、みんなで盛り上がろうぜ!」
ほぼ同期デビューでハルと同い年の早水 航輝が、ハルの肩に腕を掛けて陽気な声で誘い、他のメンバーも頷いている。
「ハルさん、アキさんの無事帰還祝いも兼ねてですもんね」
松下が嬉しそうにそれに続いた。
「そうそう!お前らが居なきゃ意味ないだろっ?
何?ハル、アッサリ帰るつもりだったの?それはないぞ〜」
…そりゃまぁ…
例年ならそうなんだけどさ…
「“ 打ち上げが終わるまでがライブ ”って言うだろ?」
「“ 家に帰るまでが遠足 ”みたいな言い方すんな!」
ハルは早水にそう言い返しながら、横目でアキをチラッと見て様子を窺う。
アキもまた少し困惑した様子だった。
「一刻も早く帰って、アキとイチャイチャしたいのに…」
これは、ハルの心の声。
「こいつらと宴会するのと、帰ってハルに絡まれ続けるのと、どっちが疲れるだろう?」
こっちは、アキの心の声。
アキの困惑の表情は、その選択に迫られていたという事に、頭が花畑になっているハルが気付く筈もなかった。
最初のコメントを投稿しよう!