50人が本棚に入れています
本棚に追加
唇を離し、俺の顔を見て笑みを浮かべるアキは、女の子みたいで可愛いとも思う。
可愛いと思うのに、自分より小さな身体のアキに背中を抱かれると、とても大きな何かに包まれているように思う。
こんな不思議な感覚、初めてだ。
見慣れたよく知ってる顔の筈なのに、それも今は違う。
閉じた瞼の睫毛が長いのも、
ツンとすましたような鼻も、
口角が上がり上唇の山がくっきりした形の良い唇も、
頬と首筋のホクロも……
みんな知ってる…なのに……。
全部好きだと、ずっと見て来たのに……。
頭の中がうまく処理できなくて、全て指で辿り確認してみる。
けれど 分かったのは、前にも増して「愛しい…」と思う自分の気持ちだけだった。
「あ…ぁ……ハル……」
譫言のように名前を呼ばれる度、その声が俺の耳から潜り込み、脳を侵していく。
アキ…どこまで俺を、お前の中に溶かすつもりなんだ。
最初のコメントを投稿しよう!