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大部屋の楽屋で着替えを済ませ、帰り支度をしながらのやり取りに、リーダーの青木が口を挟む。
「おいおい!お前ら。ハルとアキの身体のことも考えてやれよ。
あんな事件に巻き込まれて、昨日の夜中にやっと解放されたんだぞ。
ろくに睡眠も取れてないまま、今朝からずっと忙しかったんだ。
軽いとは言え怪我だってしてる。そんな身体にムチ打ってライブをやり遂げたんだ。
無茶言わずに解放してやれ」
メンバー達にそう言った後、ハルとアキに向き直る。
「なっ、お前ら。無理しなくていいから、もう帰って休め」
…ナイス!青木さん。流石に大人の対応だ…
でも申し訳ないけど、帰ったってすぐ休む気なんかないよ!
俺は早くアキと…
ハルはふにゃっと緩みそうになる頬を誰かに気付かれないように、然りげなく顔を触る振りをして掌で持ち上げて誤魔化した。
「え〜っ?…まぁそうなんだけどさぁ…」
確かに事情を考えれば当然なのだが、それだけに特別感のあった今年のライブの余韻を皆で味わいたい。
そんな気持ちの早水や松下らは、どこか諦め切れない表情だ。
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