2.打ち上げが終わるまでがライブ?

2/6
前へ
/147ページ
次へ
大部屋の楽屋で着替えを済ませ、帰り支度をしながらのやり取りに、リーダーの青木が口を挟む。 「おいおい!お前ら。ハルとアキの身体のことも考えてやれよ。 あんな事件に巻き込まれて、昨日の夜中にやっと解放されたんだぞ。 ろくに睡眠も取れてないまま、今朝からずっと忙しかったんだ。 軽いとは言え怪我だってしてる。そんな身体にムチ打ってライブをやり遂げたんだ。 無茶言わずに解放してやれ」 メンバー達にそう言った後、ハルとアキに向き直る。 「なっ、お前ら。無理しなくていいから、もう帰って休め」 …ナイス!青木さん。流石に大人の対応だ… でも申し訳ないけど、帰ったってすぐ休む気なんかないよ! 俺は早くアキと… ハルはふにゃっと緩みそうになる頬を誰かに気付かれないように、然りげなく顔を触る振りをして掌で持ち上げて誤魔化した。 「え〜っ?…まぁそうなんだけどさぁ…」 確かに事情を考えれば当然なのだが、それだけに特別感のあった今年のライブの余韻を皆で味わいたい。 そんな気持ちの早水や松下らは、どこか諦め切れない表情だ。
/147ページ

最初のコメントを投稿しよう!

50人が本棚に入れています
本棚に追加