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「一時間くらいなら平気だよな?ハル」
「あ?…あぁ…」
アキがちょっと目を細めた優しい表情を向け、ハルに同意を求める。
…アキの、大きな目を細めて相手にそっと投げ掛ける感じの優しい視線が、堪らなく好きだ。
奴はそれを知ってんのか?
ついうっかり返事しちまったじゃないか…くそっ!
俺がアキに惚れてるから?
いや、きっと俺だけじゃない…
あんな目で見られて決断迫られたら、誰でも自分の意思なんかどっかに飛んでく。
実際、共演者が口を揃えて言うのを俺は何度も聞いている。
ある年上の男性俳優が言っていた。
撮影が終わり「お疲れ様でした」と労うような目線に愛を感じた…と。
「あんなに穏やかで優しい目をしてるのに、役に入った時の眼光の鋭さと言ったら…。
素晴らしいね、彼は」
「日浦さんのあの優しい目は反則ですよねぇ…。NG出したり納得のいく演技ができなくて悩んでる時も、いつも『大丈夫だよ』 って穏やかに見守ってくれるんです。みんな癒されて虜になってます」
共演女優が舞台挨拶で笑いながらそう言うと、キャスト全員が頷いていた。
仕事仲間、友人、男女関係なくそんな事を言わせて、気付けばアキの周りはいつも人で溢れてる。
何なんだ?!
いつも明るくて、絶えず人を笑わせるタイプという訳でもないのに。
マイナスイオン放出の空気清浄機なのか?
それともやたら磁力の強い磁石でも入ってるのか?
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