ハッピーな様

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ハッピーな様

 街中は雑踏や人の声で溢れている。その声は、注意して聞かなくても嫌でも耳に入ってくる。  散歩しか趣味の無い私は、そんな誰が発したとも分からない人の声であれこれ想像して楽しむのである。 「おめでとうー!」 「おめでとっ!」 「おめでとう。」 「おめでたいねぇ。」  通り過ぎ様に聞こえる単語は自分が掛けられた声でなくとも、何ともいい気分になるものである。その日1日を過ごす気分も晴れやかになる。 「おめでとうー!合格したんだね、早速合格祝い買いに行こう」 「おめでとっ!やっと離婚できたね、これでやっと私が奥さんになれる」 「おめでとう。お前はいいよな、そうやって何でも手に入れてさ」 「おめでたいねぇ。そうやって今のうちに浮かれてるがいいさ」  背景なんぞ知らなくていいのさ。聞こえた言葉の裏にどんな人がいようと、その言葉だけでここにハッピーになった人間がいるんだから。 完
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