尾行

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「もうすぐだよ。あそこに鳥居が見えるでしょう」  菜々が真っ直ぐ指差すほうに、鳥居が見えた。  その光景に、つぐみは突然既視感を感じた。  心がザワザワする。 「ここでいいです。ありがとうございました」 「帰りも、この大通りを通って帰るといいよ。この町、一本横道に逸れたら住宅街の迷路みたいになってて、初めてだと迷子になっちゃうかも」  じゃあね、と言って、菜々は来た道を戻っていく。もしかして、家を通り過ぎていたのかもしれない。  最後まで、親切で素敵なお姉さんで、夢の中のつぐみが嫉妬するのも当然だと思った。
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