夢の瞬間

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おかしいぞ。 何かがおかしい。 あれからプレゼントが届くどころか、おかしなことが続いている。 口座の不審な引き落としが相次ぎ、電話の音が鳴り止むことはない。 昨日なんて強面のお兄さんが3人、家にお金を巻き上げにきた。彼らに借金をした覚えなんてないのに。 もしかしてと友人に話したところ、「それは詐欺だ」ときっぱり言われた。 最初は信じがたかった。 だが、この状況が1ヶ月余り続いたのち、とうとう認めざるを得なくなった。 俺は、騙されたのだ。 あのURLは夢を叶える切符でもなんでもなかった。 嵌められた。 ショックのあまり3日は食事も喉を通らなくなった。 だが、次第にこう思うようになった。 俺が出会したのが詐欺だっただけ、いや、あのURLが夢に生きる仕掛けたんだ、と。 つまり、この世にはきちんと「〇〇人目の訪問者キャンペーン」が存在するのだと。 そう思えるようになってから、俺の心に火がついた。 俺を引っ掛けようとする悪い子は俺が全部とっちめてやる。 俺の夢は誰にも邪魔されてはならない。 漢の夢を悪用するのは重罪だ——
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