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   ――私が久しぶりに明に連絡を取ったあの日、彼はとんでもないことを言い出した。 『和人もおんなじこと言ってたんだよ』 「え?」 『彼女と友達に戻りたいって』    私は耳を疑った。 『なんなら俺も朱音に連絡取ろうとしてたとこだし』 「うそでしょ……?」  いやいや。こんなことってあるの。  奇跡起こっちゃってるみたいよ、真希子。 『気が合いすぎなんだよな、あの二人。これは一芝居打つしかないかねえ』 「芝居?」 『そうそう。お互い友達になりたがってるんだからさ、あとはもう一押しあればいけると思うんだよね』  電話口の向こうの彼は『再来週末、あの二人遊園地デートするんだってさ』と続ける。 『別れてからも友達みたいに仲良くて一緒に遊園地で遊んじゃう元カップル。が目の前に現れれば、こういうのもアリだなってならない?』  そして、私はその作戦に乗った。  スケジュールを調整して、華やかな入場ゲートの前で数年ぶりに元彼の明と再会した。私たちは再会の挨拶もほどほどに、作戦の内容を今一度確認し合う。 「実行は夕方から夜。和人たちが遊園地を出ていこうとしたところに偶然を装って遭遇する」 「そのまま『夕飯でも一緒にどう?』とか言って四人で話す場を作る。そこで私たちの関係を暴露して、二人にこの関係性の是非を問う」 「そしたら多分『こういう関係良いよな』って雰囲気になる。和人なら」 「真希子もそうよ。こういうチャンスは逃さないから」 「それまでは二人を見逃さないように尾行しなきゃな」 「ええ。でも万が一見つかったときのために私たちは一緒にいたほうがいいわね」 「だな。……ほら、来たぞ」  彼が手で小さく示した先に、チケットカウンターで入場券を購入する二人の姿。  私たちは急いで入場ゲートを抜け、脇のギフトショップに身を隠した。  
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