悪は滅び聖なる夜をもたらすのか

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「ありがとう」  慧は深山にそう言うと深山は片手を胸に当て、軽くお辞儀して慧が出てきた部屋に入って行く。  きっとお坊ちゃまが荒らした現場の収集に向かったのだ。やっぱり深山には執事が似合う。 「お待たせ。浮気者のお姫様」  私が深山を見て微笑んでいたからか慧はそう言った。 「浮気なんてしていません」 「そうかなぁ。でも、これからは浮気なんて考えられないくらい僕にメロメロにしてあげる」  慧はそう言って手を差し出した。 「もうメロメロですよ」 「じゃあ、デロデロにしてあげる」 「何それ?」  慧は顔を崩して微笑んだ。私も釣られて微笑んでいると一人の女性が歩いてきた。 「寿々羽さん、慧を助けてくれてありがとう」  慧の母親だ。 「いいえ。私は何も」 「そんなことないわ。息子をあんな子と結婚させていたと思うとぞっとするわ。慧、ジュリエットの事、ちゃんと信じてあげられなくてごめんなさいね」  慧は横に顔を振った。 「寿々羽さん、辛い思いさせてごめんなさい。これから主人がなんと言おうと私はあなた達二人の味方よ」  私は最強の味方を得たらしい。 「じゃあ、ママは僕らの結婚に賛成何だね」 「ええ。もちろんですとも」  そう言って彼女は両手で私の手を掴んだ。
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