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「それで今夜、一緒にいてほしいんだよね」
「……は?」
予想外の連続が混乱を加速させる。
「なんか予定ある?」
「いや、ないけど」
「二人きりがいい。どこか場所ないかな。うち、親いるからダメで」
さっきから凪野はなにを言っているんだ? 俺をからかっているのか? 罰ゲームじゃなかったら純粋な嫌がらせか?
「もしかして嫌だった?」
見あげてくる眼差しが不安に揺らぐ。
「そういうわけじゃなくて。全部が急で頭がついていかない」
「じゃあ、一緒にいてくれる?」
「それは……」
どうすればいいんだ。夜、二人きりて。あした土曜で学校休みだとしても、俺ら十四歳だぞ。中学生だぞ。そんなの、いろいろ無理に決まってんだろ。
返事に困っていると、みるみるうちに凪野の目が潤んでくる。
「ダメなら諦める」
そういってうな垂れる姿は演技とかでもなく、本当に傷ついているように見えた。
「ダメってことでもないけど、場所とかが」
「どこでもいい。人がいなければ。心当たり全然ない?」
「ないこともないけど」
「どこ? 教えて。お願い」
「いや、でも……」
「だって、一緒にいられる最後のチャンスかもしれない」
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