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詩織を見送ってエレベーターに乗るまでに決断しなければいけない。
焦る気持ちと同調するかのように鼓動も早くなる。
「じゃぁ、お疲れ。明日は下打ち合わせだろうから、今日決めたことの擦り合わせをお願いね。明日はどうしても抜けられない打ち合わせがあるから。」
「お疲れ。明日は下打ち合わせしとくから。また結果は議事を送るから。今日はゆっくりして。ありがとな。」
そう言って詩織と別れる。
しばらく詩織の後ろ姿を見送るものの、いつまでもエントランスで一人立っているのもおかしいだろう。
この後、俺はどうすべきなのか結論が出ないまま後ろを振り返る。
フロントに立ちパソコンを覗き込んでいる相原さんの元へ自然と足が向かってしまっていた。
「ちょっといいですか。」
何を言うかも決まっていないのに、声を掛けている自分に驚く。
こんなに自分をコントロールできないのは初めてだ。
「どのようなご用件でしょうか。」
相原さんは驚いたような顔をしているものの、拒絶されているような表情ではないことに一安心する。
この後何を言うのか決まっていなかったので、再び心臓が音を立て始める。
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