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打ち合わせの時間が迫っていたので、シェアオフィスに向かう。
ルームキーをかざすと扉が開錠される。
早速会議の準備をしようとパソコンをプロジェクターに繋ぐ。
プロジェクターのピントが上手く合わせられない。
フロントに電話をかけて聞けば一瞬で解決するのだろうけど、相原さんにまた避けれたらと思い、中々内線をかけられない。
手当たり次第にボタンを押すものの、一向にピントが上手く合わない。
そうこうしているうちに打ち合わせの時間が迫ってくる。
タイムリミットを迎えて、恐る恐る電話を手に取る。
呼び出し音が鳴っている間、俺の鼓動もシンクロするかのように大きく音をたてる。
「お待たせしました。フロントの相原です。」
今一番話したくて、話したくない相手が電話に出る。
「シェアオフィスを借りている者ですが、プロジェクターのピントが上手く合わせられなくて困っているんですが。」
耳の奥で煩い程、心臓の音が響いている。
「直ぐ伺いますので、少々お待ち下さい。」
今、この場に相原さんが来るということだろうか。
また失態をしないか不安になる。
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