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何をしていれば良いのか分からず、ソワソワしているとドアをノックする音が耳に入る。
俺の心臓の音はピークに達する。
緊張で震える声で返事をすると、ドアが開く。
息を飲んで入ってくる人物を待つ。
入ってきたのは、さっき相原さんがフロントを変わった同僚と思われる男性だった。
一気に体の力が抜ける。
相原さんが来るのかと期待していた自分もいて、現実を見るとほっとする自分とがっかりしている自分がいた。
「こちらのボタンで角度をこちらのボタンで距離を合わせるとピントが合います。分かりにくくて申し訳ありませんでした。」
そう言いながら同僚と思われる男性が手際よく操作するとピントが合う。
「ありがとうございました。」
俺がお礼を言うと、同僚と思われる男性は一礼して部屋を出て行く。
情けない。
俺が通常な状況であれば一目瞭然で分かるはずのことなのに、相原さんに気をとられていた俺はそれに気づくことができなかった。
既に俺の心は相原さんに奪われてしまっているのだろう。
この瞬間、この事実を認めざるを得なかった。
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