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「ほんと、しっかり説明しといてね。うちの旦那様は心配症だから、連日仕事で遅くなると浮気してないかって大騒ぎになるんだから。」
詩織は俺の同期と社内結婚している。
このプロジェクトが上手くいった暁には、二人を豪華ディナーに招待しなくちゃな。
「早く帰れるうちに早く帰る。お疲れ、空。」
そう言うと詩織は荷物をまとめて部屋から出ようとするので、見送ろうと俺も席を立つ。
「見送るなんて珍しいわね。よっぽど心苦しいことをしたのかしら。」
このタイミングで会場を変えたことをまだ根に持っているようだ。
「そんなこと言うなよ。さ、早く帰れるうちに旦那様の待つ家に帰らないと。」
そう言って詩織と一緒にエレベーターに乗り込む。
1階に着いて詩織を見送ろうとエントランスに向かう際に、ちらっとフロントを見ると相原さんが一人でパソコンを覗き込んでいる。
一気に心拍数が上がる。
今フロントに、同僚と思われる男性はいないので話しかければ確実に相原さんと話すことができるだろう。
ただ、変態認定されているのに話しかけに行ったら余計に嫌がられるかもしれない。
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