信じれらない朝

4/10
前へ
/251ページ
次へ
「このワイン、熟成されててとても美味しかったですよ。」 少し高めの綺麗で澄んだ声が俺の耳を擽る。 隣の女性に目を向けると、さっきの不快感でいっぱいの表情ではなく少し安心する。 「ワイン詳しいんですか?」 「仕事柄、お客様に説明する機会があって勉強中なんです。」 「そうなんですね、私はワインに詳しくないから色々教えて貰えると嬉しいな。」 そう言いながらワインを口に運ぶ。 女性の言うとおり、芳醇な香りが鼻から抜ける。 「確かにかなり香りが良くて美味しいワインですね。」 「赤ワインも飲めますか?飲めるならこれもおススメですよ。」 そう言って女性が差し出したメニューを覗き込む。 女性との距離が近くなり、まだ全然飲んでいないはずなのに女性の香りにくらくらする。 ワインの話から始まり、そこからは色んな話をする。 俺も女性が進めるがままに飲んでしまってだいぶ酔いが回ってきていた。 「俺さ、温泉好きでさ。かなり色んな温泉行ってるんだよね。」 「私もですよ。びっくりする。休みの日にふらっと行って気分転換してます。」
/251ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4093人が本棚に入れています
本棚に追加