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2.過去
翌日──。
憂鬱な気持ちのまま出社した。
仕事中は有紗と話す必要はないからと思っていたけれど、同じフロアで働いているので関わりはたくさんある。
私から関わらなくっても、有紗の方が話しかけてくれば、それは始まってしまう。
「こちらマフィンの差し入れなので食べてください」
他の社員が旅行に行った差し入れが会社で配られた時。
「あ、安藤さんはダイエット中なので私がもらっておきまぁ~す」
有紗は大きな声でそう言った。
「えっ、なんで勝手に……」
「だって~有紗はこんな甘いもの食べたらすぐ太っちゃうでしょ?ああ、でも関取になれるように頑張ってるっていうんなら、これあげるけど?」
ニヤニヤしながら私を見つめる。
周りの人もお土産が配られたことで、少し休憩モードになり有紗の会話に参加する。
私の一番されたくない関取イジり……。
すると。
「岡本クンやめなさい」
青野部長が入ってきてそう言った。
部長……。
私をかばってくれたんだ。
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