2.過去

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「部長は有紗のイジり方が分かってますね~」 さらに有紗に言われて嬉しそうであった。 「そうかね」 「今みたいにイジってあげてくださいね!彼女喜びますから」 そして私の方を向き直ると、取り上げたお菓子を私のところへ戻した。 「とっちゃってごめんね?たくさん食べなね~関取目指して♡」 そう言って去っていく有紗。 私は恥ずかしさと、それからみじめさとで涙が出そうになった。 周りは楽しそうに笑っている。 雰囲気も和んだのかもしれない。 でも……。 このイジり何が楽しいの? 私は全然楽しくない。 それはイジられた側だから? 周りの空気が和むなら我慢しなきゃいけないの? 社内にいるのが嫌になり、いつもはお昼を買って社内で食べていたけれど、今日は外の飲食スペースで一人食べることにした。 食べてるところ見られるだけで何か言われそうで怖い。 今まで居心地の悪さを感じたことは一度も無かったのに、有紗が来てから会社のオフィスは出来るだけいたくない場所になってしまった。
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