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有紗の言葉に私は思わず強い口調で言ってしまった。
「や、やめて!!」
その瞬間、シーンと静まり返る社内。
「あ、あの……」
私の一番苦手な雰囲気。
いい雰囲気を壊してしまった気持ちになって罪悪感を感じる。
またこれだ……。
「す、すみません……」
私が慌てて謝ると、有紗はまぁまぁとなだめるように私の肩を叩いた。
「もう~里子ったらただイジってるだけじゃん!」
その瞬間、彼女の言葉がフラッシュバックする。
『ただイジってるだけでしょ~?』
ただイジっているだけ。
そういう言葉で片づけて、彼女は私のことをバカにして楽しんでいる。
「もう、久しぶりに会えて嬉しかったのに、ノリ悪いぞ」
有紗が肩で小突いてくると、社内に笑いが生まれた。
結局そうだ。
イジられた側が本気になって嫌がると、イジってるだけなのにノリが悪いって言われてしまう。
「そうだよなぁ、せっかく親友が来てくれたんだから、嬉しいことじゃないか」
青野部長もそう言って笑った。
「ごめん……」
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