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「(スミマセン、私、走ったことがなくて…)」莉緒は小声で話します。
『今の行動で、きっと評価が少し下がりましたよ。ストーリーに影響がないところとはいえ、常に観られていることを意識してください』
足元をチョロチョロしながら、リスの館林さんは怒っていました。
2時間という長い時間も無事に終わり、とりあえず今日は王族、お客様が目の前を通る際には道をあけて、お辞儀をする事を覚えました。
次の日も、また次の日も掃除係で、自分は完全に脇役である事を認識しました。しかし、ここで健康的に働き、美しい王子様(実は女性でした!)や王女様にお会いできたり、働く仲間とおしゃべり出来たりする事が楽しくて仕方ありませんでした。
転生出来たわけではありませんが、念願が叶った気分です。
そして…学校でも友達が出来ました。王宮物語を研究したいと思い、先日漫画を借りた女子からまた別の漫画を借りたりしているうちに、色々漫画について話せるようになりました。
アクションタイムのおしゃべりの中でストーリーの進行状況を得る事ができ、いよいよ終盤に差し掛かったことを知りました。
莉緒は毎日夜9時が楽しみで…少し無理をしてしまったのでしょう。
日中、道路で倒れてしまい、救急車で病院へ運ばれてしまいました。
「ちゃんとした治療を行わないと、命に関わります」とお医者様は言い、検査のため数日入院することになりました。
しかし次の日、お父さんが莉緒を無理矢理連れて帰ります。
「お前がいなきゃ、家の事を誰がする。第一、病院に払う金なんか…」
莉緒は家で、高熱を出しながらなんとか家事をしますが、アクションタイムに出演する気力までは出ませんでした。
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