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テレビはお父さんが観るものなので、アニメや恋愛ドラマが放送されていることすら知りません。主に野球や時代劇、時々ニュースを観るものだと思っていました。
学校でも本を読むことはありませんでした。
同級生と話すこともありませんでした。
休み時間は、宿題をする時間だったからです。
しかしある日、クラスの横の席の女子が読んでいた漫画の綺麗な表紙に目を奪われてしまいました。転生モノの王道王宮ロマンス漫画でしたが、イケメン王子と可愛らしいお姫様が花に囲まれているその表紙は、莉緒には話の想像がつかないものでした。
莉緒が珍しく興味をしてしていることに気がついたその女子は、快く漫画を貸してくれました。
人間関係に疲れた女性会社員が、王宮ロマンス小説の悪役令嬢に転生する漫画でしたが、その女性の現状打破する努力や根性に莉緒は心を打たれたのです。
読み終えてからも、その漫画のことが頭から離れません。
私も、転生したい。せめて丈夫な身体の女の子に…!
その次の日の朝から、目が覚めるたびに自分はまだ現実にいるのだと、落胆する事になりました。
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