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「今、出演できるストーリーはこの3種類のうちの1つです。もちろん、莉緒様にご負担いただくお金は1円も発生致しませんので、ご安心を。いかがですか?試してみたいと思いませんか?ただしそのストーリーの中で、自分がどういった役回りであるかは選べません。生徒Aなど、名前すらないかも知れません。その場合であっても、立派に「生徒A」を演じ切れば、報酬が入ります」
莉緒は演劇など、幼稚園のお遊戯会以来したことはありませんでしたが、目の前に「王宮」というカードが置かれた時点で断る気は無くなっていました。
ーー王宮物語の登場人物になれる…?
莉緒はドキドキが止まりませんでした。
「出演出来る時間は夜9時から11時の2時間です。それ以上の出演は脳の疲労ダメージが大きくなるので、時間を決めさせていただいております。出演される際にはベッドに寝転んだ状態で、終了後そのまま就寝されることオススメ致します。毎日でもご都合の良い日だけでも出演できます」
ーーいつも9時までには家の事を済ませているので、出演出来る。
「やります。やりたいです。『王宮』で」
莉緒が自分の気持ちを誰かに伝えたのは、この時が初めてでした。
館林さんはニッコリ笑い、
「では注意等説明致しますので、よく覚えておいてくださいね。こちらの書類など、現実世界には持ち出せないので」と言い、紙芝居風の説明書を取り出しました。
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