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王宮の庭の掃除といっても、見渡す限りお城の敷地が広がっていて、掃き掃除だけでも大変そうです。
そもそも莉緒は身体が弱いので、2時間も掃除をし続けていられるかわかりません。
「とりあえず、始めましょうか」
敷き詰められた石畳に散らばった落ち葉を掃き続けます。
時々、お城の窓からドレスを着た女性が外を眺めています。
彼女が主役だろうか。本当に王宮物語なのだ、と実感しました。
掃除を始めて20分ほど経ち、辺りを見回しながら掃除をしていたので気が付きませんでしたが、莉緒は自分が全く疲れていないことに気が付きました。
ーー今なら…走れるかもしれない!
いつも体育の授業では、教室の窓から校庭を眺めていただけの莉緒にとって、「走る」というのは憧れでした。
莉緒はホウキを捨て、スカートの裾を持ち、走り出しました。
『コラコラコラー!どこに行くのですか!?』リスの館林さんが慌てて追いかけます。
風を感じ、景色が流れる。
莉緒は初めて走ったことに涙しました。
『止まってくださいー!強制退出させられてしまいます!!』
館林さんのその言葉に、慌てて従いました。
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